「せいっ!……せやっ!!!」
祐々の気合いの篭った声が薄暗い森に響き渡る。人の大きさ程もある茶色い蟲……盗虫がザンッと一刀両断の元に断ち切られ、蟲の体液やべとべと液が飛び散ち、祐々の端正な顔と鎧を汚す。
最後の一匹を退治し終えたところで両手剣を地面に突き刺し、それに寄りかかる様に一休みする祐々。
Ragnarok〜青空の下で〜2話
「ふぅ……」
リュックから取り出したタオルに水筒の水で濡らし、飛び散った盗蟲の体液でべとべとした液を拭う。
「ノエル、今どのへんなの?」
さっきからひっきりなしに地図を見ながら呻いているノエルに視線を向け、質問するが…。
「……さあ?」
ちょこんと首を傾げて答えるノエルに思わずカクンと剣に寄りかかっていた体が崩れる。
「『さあ?』じゃないでしょう」
地面に突き刺した剣を引き抜き、刀身の汚れを拭き取り鞘に仕舞いながら、ノエルの後ろに回り込み地図を覗き込む。
「……ノエル……」
「ん?なぁに?」
「それ、逆さまよ……」
「あ…………」
「…………」
「…………」
「…………」
ひゅう〜
二人の間に冷たい風が通り抜ける。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…あはははは♪」
「…………はあぁ」
ノエルの誤魔化し笑いをしながら地図を正しく元に戻す姿に思わず脱力する祐々だった。
「それはいいとして、どうするの?」
「う〜ん、どの辺りだかわからないし……とりあえず、今来た道を戻るしかないかな?」
「覚えているの?」
「……それに関しては大丈夫。迷わないようにゼロピー撒いてきたから、それを辿って戻ればすぐです」
えへんと胸を張るノエルに一言……。
「…絶対に無理ね、ノエルは忘れているかもしれないけど盗蟲ってルートするわよ?さっき、貴方が撒いたゼロピーに群がっていた盗蟲4〜5匹、私が倒していたし……」
「えっ!!そ、そおだったあ〜。思いっきり忘れてたぁ!!」
ノエルの絶叫が薄暗い森に木霊する。
「………やっぱりアホだわ」
頭を抑えて唸るノエルを見てぼそっと一言、呟く祐々だった。
「むぅ、祐々さん、どうしましょ〜」
目を閏ませて困りきった表情で祐々を見上げるノエル。
「……か、可愛い……じゅる」
ノエルに聞こえないようにぼそりと呟きながら、抱きつきたくなる衝動を少ない理性でなんとか抑える。
「そ、そうね………まずは一旦、蝶の羽を使って街にもどるのはどうかしら?」
「蝶の羽ですか……私、持ってませんよ」
「あら……ノエルは転移魔法は習得してないの?」
「あ、そっか、テレポがあったっけ」
ぽむっと手を打ち、先日に習得したんでした〜とちろっと舌を出しながら照れ笑いする。
「………」
ぷるぷるとうつむきながら震える祐々。
「どうしたんですか?」
怒らせたかと思い、心配そうに祐々の顔を覗き込もうとすると同時に……
「も、もうダメぇ〜可愛いいいぃぃぃ〜!!!」
がばっと顔を上げてノエルに抱きつこうとするが……
「きゃあぁ」
バックステップで間一髪でひらりと祐々の攻撃(?)を躱わす。
「い、いきなり、な、何をするんですか?祐々さん」
距離を空けて、祐々と対峙するノエル。
「フフフ……」
そこには目が血走って獲物を追い詰める祐々の姿があった。
「祐々さんが壊れたよ〜」
そこらのモンスターよりも身の危険を感じ、踵を返して咄嗟に逃げ出すノエル。
「待ちなさい、ノエル」
「待ったら何をするんですか?」
「ふふふ……痛いのは最初だけよ」
「うひぃ……何が最初だけなのですかぁ〜」
じりじりと両手を伸ばしてノエルに掴みかかる祐々。
それを直前で躱わすノエル。
二人によるマンドラゴラの森での鬼ごっこが始まったのだった。
後書き?祐々「ふふふ・・・・いい度胸じゃないの?ええ?作者さん」
作者「………えっとこれには訳が…」
祐々「問答無用!バッシュ!!」
ごうんっ
作者「ぐはっ」
祐々「バッシュ!!」
ごうんっ
作者「ぐはっ」
祐々「バッシュ!!」
ごうんっ
作者「ぐはっ」
祐々「バッシュ!!」
ごうんっ
作者「ぐはっ」
以後、この状態が3時間続く……
戻ります