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ここは首都プロンテラ……




旅の中継点、そして……プロンテラ城を始めとする国の中枢が集まっている場所でもある。

当然、首都と言うに相応しく、地方の珍しい品々が集まり噴水前の大広場では多くの露天商で賑わいを見せ、今日も多くの旅人達が集い、そしてここから旅立っていく。

その首都プロンテラの北東にこの国の主神オーディンを奉る大聖堂が荘厳かつ神聖な雰囲気を放っていた。

そして、その大聖堂はプロンテラ城と共に街のどこにいても見えるほど大きく、首都の象徴とされていた。

各地からの巡礼者たちが集い、大聖堂の前に人が途絶えることはない。






















Ragnarok〜青空の下で〜1話





























休日の大聖堂は参拝者で賑わっていた。

大聖堂の裏手からひとつの人影が辺りを警戒しながら飛び出てくる。

その人影は、年の頃15〜6歳、鳶色の瞳、腰まで伸びる栗色の髪を銀色の髪飾りで留めた少女だった。

新しい白い法衣からしてまだ、最近にアコライトになったばかりであることが判る。

「ほっ、はっ……」

大聖堂に向かう参列者たちを軽快なステップでジグザクに避けていく。

「ノエルっ、待ちなさい!!」

少女の背後……大聖堂の方から怒声が聞こえてくる。

恐る恐る振り返ると、角を生やした鬼婆…いや、修道女頭を始め数人の修道女たちが追いかけてくる。

「うひぃ……バ、バレた……」

声に一瞬、ビクっとなるが走る速度を落とすことなく走る。

「こ、このままではやばいかも……『主よ、私に風の加護を……《速度増加》』

ふわっとノエルの周りにふわりと風が舞うと同時にぐんっと彼女の走る速度が飛躍的に上がる。

「……そう簡単には捕まらないよっと……」

迫り来る追っ手を引き離し、広場への近道とばかりに塀に手を掛け、ひらりと乗り越える。

「100点満点…」

スタツと地面に着地して体操選手みたく両手を広げる少女。

「ふぅ……ここまでこれば追ってこないでしょう。」

壁に寄りかかり、額に薄っすらと滲んだ汗をポケットから取り出したハンカチで拭いながら、壁の向こう側で聞こえる怒声のやりとりに笑みを浮かべる。

「そうだったら良かったわね………ノ・エ・ルちゃん♪」

「……えっ!」

ノエルのすぐ横の路地から聞こえた声に振り返ると……

何故か左右にきわどいスリットが入っている紫色の修道服……これでもプリ-ストの正装(恥ずかしくないのだろうか?)

……を着たノエルに似た栗色の髪を持つ妙齢の女性が立っていた。

「今日は逃げられないわよ。ノエルちゃん♪」

「あ、あぅ……お、お母さん………何故、フェイヨンに出張だったはずじゃ……」

「定期報告をしに戻ってきたのよ…」

にこりと笑みを浮かべながら、ノエルと呼ばれた少女に近づいてくる。

「あぅ……」

ノエルはすぐに駆け付けた修道女たちにたちまちに捕まり、大聖堂へと連行されていった。






















「うにぃ……酷い目にあった……お母さん、いつのまに帰ってきてるし……」

昼を過ぎて客がいなくなった酒場兼宿屋にノエルの姿があった。

表情からかなり疲労が見える。

「自業自得よ」

「朝のミサをちとサボろうと思っただけなのに……私が捕まっている間にちゃっかりとあゆあゆ先輩はサボっているし……」

ぐでぇっとテーブルに突っ伏すノエルの隣りの席に座るウェイトレス。

「で今回はどんなお仕置きをされたの?」

にやにやと笑みを浮べながら、ノエルに聞いてくる。

「んと……これから聖カピトリーナ寺院跡で修行しているむさくるしい中年おや……いや、修行僧にこの手紙を渡すんだって……」

相変わらず突っ伏したままでポケットから取り出した手紙を人差し指と中指の間に挟んでぴらぴらと揺らす。

「おめ♪」

「『おめ♪』じゃなーい!!」

ガタンと席を立つノエル。

「あの森は触手がうようよだよ?通る人をうねうねしてくるんだよ?触手マニアの祐々(ゆゆ)さんならともかく、可憐でか弱い私が行くなん……むぐぅ

ノエルが言い終える前にゴスッと後頭部に当たるブルージェムストーン。

いくら軽いといっても鉱石……かなり痛い……多少、血が出てるし……。

「誰が触手マニアですかあああぁぁぁぁぁぁ」

「あ、祐々さんこんにちわ」

「あ、こんにちわ」

ウェイトレスに挨拶を返す。

つかつかと駆け寄り、頭を抑えてうずくまっていたノエルの襟首を掴んでカックンカックンと揺さぶるピンク色のハットを目深に被った剣士風の女性。

「あぅあぅあぅあぅ……きぼちわるいよぅ〜」

「あの〜祐々さん?それ以上やったらノエルさん死んでしまいますよ…」

慌てて少女剣士を止めるウェイトレス。

「はぁはぁ……」

「んにぃ〜」

白目を向き気絶しているノエル。

でも気絶する際にスポアの断末魔の真似をするなどその芸人根性は見上げたものである。

「リンゴジュース頂戴ね。いまのでのど渇いちゃった……」

飲み物を注文しながらハットをテーブルの上に置き、先程の乱闘(?)で乱れた髪を手で梳ながらノエルが座っていた席に座る祐々と呼ばれた剣士。

見た目はノエルよりも上ぐらい薄紅色の髪を二つに分けて縛っており、いかにも面倒見のいいお姉さんといった感じの女性だった。

「で?祐々さんはどうしたんですか?昼間からこんなところに来て……珍しいですね。いつも昼間から部屋をよく使うリュックさんとメアリーさんなら判りますが……」

注文の品……リンゴジュースをテーブルの上に置きながら聴くウェイトレス。

「そこのアホライトに携帯で呼び出されたのよ。手伝ってくれって……。リュックとメアリーのバカップルはどっかでいちゃついているわよ」

まだ床で伸びているノエルを咥えたストローで差す祐々。

「……ア、アホ…ライト……確かに……」

思わず納得するウェイトレス。

事実、ノエルはその整った容姿と裏腹に聖職者ならぬ言動と突拍子もないことをいつもしでかし、数多く周囲をトラブルに引き込んでいる。

それも大抵は自分自身に跳ね返ってきているが大したことにならないのは……よく考えてみればとんでもないことかもしれなかった。

「でも優しいね祐々さんは……」

「そうでもないわよ?他ならぬノエルの頼みだし……じゅるっ

肉食動物が獲物を見るような視線で床で伸びているノエルを見つめる祐々。

「……あ、そ、そそそうですか……」

本能的に危険を感じたのだろうか祐々を見て思わず引くウェイトレス。

リンゴジュースを飲み終え、ノエルのそばに歩み寄る。

「ノエルちゃ〜ん、起きないといたずらしちゃうよ?」

「!!!……お、起きます!!!」

がばっと勢いよく起き上がり、シーフ並みの速さで祐々から一瞬で距離を取る。

さすがは異様に運動神経が飛びぬけているだけはある。

まあ、知識もそこそこあるらしいが……それは微塵に感じられないのは日頃の行いのせいだろう。

「ちっ…」

横を向いて舌打ちする。

「ゆ、ゆ、祐々さん、さ、さ、さっさとこの手紙を修行僧に渡さないといけないのでさ、っさといきましょう」

ギクシャクとした感じで酒場を逃げるように後にするノエル。

はぁとため息を付き、テーブルに立てかけてあった両手剣を背負いなおし、出口に向う。

「じゃ、行って来るわね」

手をひらひらと振りながら祐々も酒場を後にしたのだった。




後書き?

作者「………」

ノエル「……ひ、ひどいっ」

作者「そか?」

ノエル「私、こんなに変じゃないよ……」

作者「でも遠からずと意見を聞くが?」

ノエル「ひ、ひどいよ〜、作者なんか兄貴(オーク)にハァハァされちゃえば良いんだ〜…わ〜ん(泣)」

そのまま、速度増加を自らに施し、土煙を上げて去っていくノエル。

さすがはAGI特化だけはある。

作者「………おぃ(汗」

※ノエルはAGI52、INT31以外は初期値のアコライトである…







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